胆道
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異所肝管走向異常と胆嚢管走向異常の重複に胆嚢結石が合併した1例
上田 順彦小西 一朗広野 禎介
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1997 年 11 巻 2 号 p. 179-183

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抄録

異所肝管走向異常と胆嚢管走向異常の重複に,胆嚢結石が合併した1例を報告した.症例は46歳,女性.胆嚢胆石症の診断にて入院した.内視鏡的逆行性胆管造影の正面像では,胆管後壁を旋回し膵内胆管左側壁に合流する胆嚢管に,右後区域を支配区域とする胆管枝(異所肝管)が胆管後壁で合流していた.側面像では,異所肝管の胆嚢管合流部近傍では異所肝管は,胆嚢管の腹側に位置していた.久次の副肝管走向異常分類のV型と,胆嚢管走向異常分類のC型の重複であると判定し,開腹的に順行性に胆摘術を施行した.術中胆道造影にて胆嚢管と異所肝管の関係を確認した後,異所肝管の胆嚢管合流部直前で胆嚢管を結紮した.自験例の存在から,胆嚢管や肝管の形成時期は胃の回転に伴う胆道の捻れの時期より,発生学的に前であることが推察された.また,異所肝管と胆嚢管の位置関係が通常と逆転していたことは,胆道の捻れによる可能性が考えられた.

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