胆道
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右肝動脈による肝門部胆管の圧排が閉塞性黄疸の誘因と考えられた1症例
戸田 勝典多田 秀樹霜野 良一本合 泰福本 信介安住 治彦有坂 好史百瀬 哲也柏木 元実鹿嶽 佳紀勝 健一
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キーワード: 良性胆管狭窄, 肝動脈
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1997 年 11 巻 2 号 p. 184-190

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抄録

症例は34歳,男性.皮膚の黄染が出現し,他院で腹部US,CTが施行され,閉塞性黄疸と診断された.内視鏡的逆行性膵胆管造影(以下ERCP)にて肝門部胆管に高度の狭窄が認められ,経皮経肝胆嚢ドレナージによる減黄後,精査加療目的で当院に紹介入院となった.胆管造影では肝門部に半球状の陰影欠損が描出されたが,腹部US,腹部造影CTでは肝門部に腫瘤を疑う所見は認められなかった.経皮経肝胆道鏡(以下PTCS)では肝門部の胆管狭窄部に拍動が観察され,同部の粘膜は平滑で血管透見像がみられた.しかし,結石の存在や悪性所見は認められなかった.胆管内超音波検査(以下IDUS)では狭窄した胆管周囲に腫瘤性病変はなく,同部の胆管壁に接して動脈が描出されて右肝動脈と推測された.腹腔動脈と胆管の同時造影により,右肝動脈が肝門部胆管の狭窄部に一致して走行するのが確認された.ドレナージチューブを抜去後,現在まで34カ月が経過しているが,黄疸の再発は認められない.

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