1997 年 11 巻 4 号 p. 341-348
Angio-CTを用いて,胆嚢静脈の肝内流入血管を検討した.対象は膵胆道系疾患の術前患者14名である.胆嚢動脈のDSAおよびAngio-CTにより胆嚢静脈を同定し,その肝内流入血管および流入部位を検討した.胆嚢静脈は全例で描出され,総本数は37本であった.胆嚢静脈には,肝門部より肝内に流入するもの(9例10本)および肝床部より肝内に流入するもの(12例27本)があり,すべて肝内門脈枝あるいは肝sinusoidに流入していた.肝門部経由の静脈は門脈臍部(2本)や右本幹(2本)といった比較的太い門脈枝に流入するものが多かったのに対して肝床部経由の静脈はP4a(6本),P5(9本)や肝sinusoid(9本)に流入しているものが多かった. さらに亜区域枝への流入部位をみると,P4aでは末梢側が,P5では根部側が多かった.