胆道
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孤立性肝内胆管拡張症の1例
山崎 將人渡辺 義二入江 氏康石島 秀紀太田 真佐藤 裕俊
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1997 年 11 巻 4 号 p. 372-377

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抄録

症例は53歳女性.腹部超音波にて肝門部の腫瘤を指摘され来院した.入院時現症,検査成績では中性脂肪の軽度上昇を認めた以外,正常であった.超音波とCTでは肝門部近くに内部石灰化を伴う嚢胞を認め,嚢腫穿刺造影にて右肝管前枝の基部が嚢状に拡張していた.肝外胆道系には異常はなく,合流異常も認められなかった.手術は右肝管前枝を結紮切離し,嚢腫切除術を施行した.嚢腫は直径約3cmで,内部に一塊となった黒色石を多数認め,内腔は白色光沢を有し平滑であった.組織学的には,壁に軽度の炎症所見と,ところどころに胆管付属腺が見られ,孤立性肝内胆管拡張症と診断した.術後トランスアミナーゼと胆道系酵素の上昇を認めたが,腹痛や発熱はなく良好に経過し,第28病日退院した.超音波にて,右前枝胆管は4.7mmと拡張したままであるが,4年半経過した現在腹痛発熱などなく良好に経過している.本症は報告例が少なく,その病態は不明な点が多い.症例を重ね,さらなる検討が必要と思われた.

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