胆道
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術前に胆管癌と診断された胆嚢扁平上皮癌の1切除例と本邦切除例28例の検討
堀口 実岩渕 正之川端 啓介
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1999 年 13 巻 1 号 p. 21-31

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抄録

症例は75歳女性で,肝機能異常を指摘されて入院.術前の直接胆道造影で上部胆管癌と診断され,1991年6月10日根治術を行った.切除標本の病理組織学的検討で胆嚢原発の高分化型扁平上皮癌と判明し,それが胆管に浸潤していた.胆嚢扁平上皮癌は稀なので,1970年以降の本邦での切除例28例を文献的およびアンケート調査を行って検討した.その結果,肝十二指腸靱帯を除く局所直接浸潤傾向が強く,腹膜播種や血行性転移が少ないことなどが特徴的であった.扁平上皮癌の予後は,他の胆嚢癌と比較した結果,仲々良好で,5生率46.2%を得,StageIVだけでも5生率31.3%を得た.また,StageIVaとIVbを比較するとIVaが有意に良好であり,治癒,非治癒切除別にみると非治癒切除例の5生率,12.5%に比し,治癒切除例の5生率,87.5%は有意に良好であった.さらに長期生存例も4例認めたことから,積極的切除および術後療法が望まれ,それによっては治療成積のさらなる向上も期待しうる.

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