胆道
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Expandable metallic stent挿入時のVater乳頭部の開存と胆道感染
清水 潤三永野 浩昭左近 賢人堂野 恵三奥山 正樹武田 裕中森 正二梅下 浩司後藤 満一金 束石村上 卓道友田 要鳴海 善文中村 仁信門田 守人
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1999 年 13 巻 1 号 p. 32-38

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抄録

Expandable metallic stent(EMS)を挿入した悪性胆道狭窄15例について,EMS挿入後の乳頭部開存の有無により2群にわけ(温存群8例,温存不能群7例),胆道感染,EMS挿入後の入院および在宅期間等について比較検討した.温存群ではEMS挿入後の胆管炎は全例に認めなかったが,温存不能群では7例中6例(85.7%)と高率に発症し,そのうち2例に肝膿瘍を合併した。胆汁細菌培養は温存群で1例(12.5%),温存不能群では全例(100%)陽性であった.入院期間にっいては両群問で差はなかったが,在宅期間は温存群の132.2日に比して,温存不能群で86.3日と短縮しており,特にEMS挿入後の在宅率は,温存不能群で有意に短縮していた。以上より,温存不能群では温存群に比べて,EMS挿入後高頻度に逆行性胆管炎を併発し,EMS挿入後のQuality of life(QOL)が低下していた.したがって,EMS挿入後に乳頭部が温存できなかった症例については,逆行性胆管炎に対する配慮の必要性が示唆された.

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