胆道
Online ISSN : 1883-6879
Print ISSN : 0914-0077
ISSN-L : 0914-0077
黄疸で発症した肝門部inflammatory pseudotumorの1例
久保田 香遠藤 格瀧本 篤森脇 義弘藤井 義郎渡会 伸治嶋田 紘國広 理稲山 嘉明加藤 弘
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 13 巻 1 号 p. 65-70

詳細
抄録

症例は66歳女性.褐色尿と黄疸を主訴に近医を受診したところ,肝門部腫瘤指摘され,精査目的で当科入院となった.ERCPでは,総肝管に腹側からの圧排像を認めた.CTおよびEUSでは,総肝管に接して長径1.5cmの腫瘤を認め,悪性疾患の12cリンパ節転移または悪性リンパ腫と診断した.腫瘍マーカーの上昇がみられ,閉塞性黄疸を来したことから,開腹術を施行した.術中所見では,胆嚢管と総肝管の間に直径2cmの弾性硬の腫瘤を認めたため,胆嚢とともに摘除した.組織学的にはリンパ球を主体とする炎症性細胞の著明な浸潤を認めたが,明らかなリンパ濾胞の形成はなく,inflammatory pseudotumorと診断された.黄疸を来したinflammatory pseudoturmorの報告例は,本例が6例目であった。閉塞性黄疸を来す肝門部腫瘤の鑑別診断として,本疾患を念頭におくべきと思われた.

著者関連情報
© 日本胆道学会
前の記事
feedback
Top