胆道
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腹腔鏡下胆嚢摘出術の術中損傷に対する胆道再建術後に生じた吻合部狭窄の1例
坂東 正霜田 光義長田 拓哉塚田 一博山岸 文範
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1999 年 13 巻 1 号 p. 60-64

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抄録

腹腔鏡下胆嚢摘出術の術中胆道肝動脈同時損傷に対する,膠道再建術後吻合部狭窄の1例を経験した.症例は65歳,女性.某病院で,胆嚢結石症の診断で,腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われたが,術中胆道損傷を来し,総肝管空腸吻合による胆道再建術が施行された.術後約1年胆管炎を繰り返し,当院入院となった.胆道造影にて吻合部狭窄が認められ,PTCDを用いた内瘻化および狭窄部の拡張を約4カ月行ったが狭窄は改善せず,再手術を施行した.血管造影で,右肝動脈の離断所見が認められた.吻合部胆管壁は硬化肥厚していたため,狭窄部切除と再吻合を施行した.術後1年半経過したが,経過は良好である.腹腔鏡下胆嚢摘出術時の偶発症に対する処置は,重複する合併症に注意し,血管損傷合併時には,術後狭窄が発生する可能性があり,残存肝管をできるだけ短くし,できるだけ大きめの吻合口での胆道再建が必要であると思われた.

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