胆道
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Metallic stentを7年間にわたり留置した良性胆管狭窄の1例
安井 智明豊坂 昭弘山中 若樹神野 浩樹田中 渉安藤 達也山中 潤一黒田 暢一岡田 敏弘洪 基浩金村 博成麻野 泰包岡本 英三
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1999 年 13 巻 4 号 p. 332-338

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抄録

良性胆道疾患に対するmetallic stent留置の問題点を示唆する症例を経験した.55歳男性で,某病院で手術不能上中部胆管癌と診断され,plastic stent留置,放射線外照射および化学療法が行われた.半年後stentが閉塞し当院に入院した.胆道鏡下の生検で悪性所見はなく,良性胆道狭窄と考えられたが,患者は手術を拒否しチューブフリーを希望したため,metallic stentを留置した.2年後stent ingrowthによるstent閉塞に対し,左右肝管,胆管末端部にstent in stentを行った.4年後胆管十二指腸瘻を形成し,7年後閉塞性化膿性胆管炎を発症した.開腹所見では,総胆管は著しい肉芽性変化を呈し,stentは肥厚短縮した肝十二指腸間膜内に埋没し,一部腹腔内に露出していた.手術は肝外胆管切除,胆管空腸吻合を行った.切除標本中には,悪性所見は認めなかった.長期にわたって留置されたmetallic stentが,局所に高度炎症を引き起こし,放射線外照射による組織障害がこれを増強したものと考えられた.良性胆道疾患は経過が長いため,metallic stent留置の適応は慎重に行わなければならないと考えられた.

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© 日本胆道学会
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