抄録
症例は44歳の女性で,約3年前にS状結腸癌でS状結腸切除術を受けた.組織学的には中分化型腺癌であった.1999年4月のCTで,肝S8,S6,S3に肝腫瘍を指摘され,右肝内胆管後区域枝,左肝内胆管に腫瘍栓を認めた.内視鏡的逆行性胆管造影では,肝内胆管の右後区域枝,右前上背側枝(B8c),左外側前下枝(B3b)の胆管は造影されなかった.胆管内進展を呈する大腸癌肝転移と診断し,肝右葉切除, 肝S3切除術を施行した.
組織学的には中分化型腺癌で,肝転移と診断した.また,全ての転移巣から胆管内進展を呈しており,その形式は腫瘍栓の進展と胆管上皮への表層拡大が,同時に存在していた.