2002 年 16 巻 2 号 p. 137-143
症例は17歳, 女性. 学校検診で愈尿を指摘された. 腹部超音波検査および腹部CT検査を施行したところ,総胆管の著明な嚢腫状拡張を認めた.ERCP上,主乳頭からの造影では腹側膵管のみが造影され,副乳頭からの造影では背側膵管のみ造影されたことから,膵管非癒合と膵・胆管合流異常に併存した先天性胆道拡張症と診断し,分流手術を施行した.無症候性で背側膵炎の所見を認めなかったため,副乳頭形成術を付加しなかった.摘出標本の検索においても,胆道上皮の異形成変化を認めなかった.本症例のような膵管非癒合,膵・脂管合流異常の合併例は極めて少なく,本邦で検索しえた範囲では本症例を加え6例のみであり,術式決定においては議論の余地が残された.今後両奇形の合併も念頭におき,検討を加えていく必要性があると考えられた.