抄録
症例は80歳, 男性. 胆管結石治療目的に当センター入院. MRCPにより下部胆管に結石を認め,胆管,胆嚢管の軽度拡張がみられた,内視鏡的乳頭括約筋切開術を施行し,胆管結石排石後にバルーン造影を行ったが,胆嚢管が造影されなかった.胆嚢管病変を疑い,超音波内視鏡検査を施行したところ,胆嚢管内に低エコー腫瘤像がみられ,胆嚢管腫瘍を疑ったが胆泥も否定できなかった,腫瘍と胆泥の鑑別を目的に,造影超音波内視鏡検査を施行したところ,腫瘤内に血流信号が認められたため,胆嚢管腫瘍と診断した.経口胆道鏡検査では, 胆嚢管分岐部付近に顆粒状の粘膜変化を認めた. 乳頭型胆嚢管癌と診断し,阻嚢および胆管切除,1群リンパ節郭清を施行した.切除標本では,胆嚢管の内腔をほぼ占拠する19×18mmの乳頭状隆起性病変がみられ,病理学的には乳頭膨張型の胆嚢管癌,pap,pT2 (ss, pHinf0, pBinf0, pPv0, PA0), n0, m0, fStage IIであった.