胆道
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肝門部の基礎解剖
村上 弦
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キーワード: 肝被膜, 肝門板, 平滑筋, 組織学
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2007 年 21 巻 1 号 p. 97-104

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抄録
腹膜に直接覆われない部位の肝被膜は,組織学的には厚い明瞭な線維性構造として同定できる.門脈・動脈そして多くの神経が疎性結合組織の中に浮いているのに対して,総胆管や胆嚢管を除く多くの末梢の胆道系が,密な線維性結合組織に包まれて肝被膜のすぐ外にある.後者の密な結合組織が,いわゆるグリソン鞘として末梢に続くのであろう.外科的に観察される肝門板は,組織学上は,胆管が埋没している密な結合組織構造に対応すると共に,術中に胆管を明瞭化する作業過程で,周囲の疎な線維性組織が板状に凝集していくのであろう.下大静脈の外膜に接する肝被膜は,例外的に厚い平滑筋層からなる.静脈中膜の平滑筋が粒状に見えるのに対して,肝被膜のそれは線状に見える.肝被膜平滑筋の一部の層は,尾状葉静脈や主要3肝静脈に沿って,それらの中膜の平滑筋と混在しながら肝実質内の末梢まで連続している.
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© 日本胆道学会
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