抄録
切除不能,または術後再発した肝内胆管癌の予後は不良であり,有効な治療は現在も確立されていない.これらの症例に対して,一過性の塞栓物質であるdegradable starch microspheres(DSM)を用いた動注化学塞栓療法(DSM-TACE)を施行し,その効果と合併症を検討した.奏功率は529%で,生存期間中央値は463日(15.4カ月),1年生存率も77.5%と,現在行われている全身化学療法よりも良好な結果であった.Grade4の肝機能障害を認めたが,一過性であった.肝膿瘍,胆管壊死,胆汁性嚢胞を各1例に認め,2例にドレナージを施行した.DSM-TACEは手術不能または術後再発の肝内胆管癌に対する比較的安全で有用な治療法と考えられるが,過去に経動脈的治療を行っている症例では,治療後の胆管障害が強く現れることがあるため,胆管ステントや胃空腸吻合を有する症例の治療の際には注意が必要である.