胆道
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21 巻, 2 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 松田 正道, 渡邊 五朗, 橋本 雅司, 宇田川 晴司
    2007 年 21 巻 2 号 p. 119-124
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    【はじめに】高アミラーゼ胆汁は,膵胆管合流異常の存在を示唆するものとされている.しかし画像上合流異常が証明されても,胆汁中アミラーゼは必ずしも高値を呈するわけではない.今回は胆嚢胆汁中アミラーゼが103(IU/L)未満の低値例についてその臨床病理像を検討した.【結果】当科で手術を施行し,胆嚢胆汁中アミラーゼを測定した合流異常は65例で,103(IU/L)未満6例,103以上104(IU/L)未満5例,104(IU/L)以上54例で,中央値は6.3×103(IU/L)であった.胆嚢胆汁中アミラーゼ低値例は6例で,うち3例に胆嚢癌を,胆嚢粘膜過形成,膵癌を各1例に認めた.また1例は拡張胆管を充満する巨大な総胆管結石を伴っていた.【考察】主膵管の閉塞を伴う膵癌と,巨大総胆管結石例では,膵液の胆管内逆流が生じ難いため,胆嚢胆汁中アミラーゼが低値を示したと考えられる.特記すべきは胆嚢胆汁中アミラーゼ低値例にも胆嚢癌が少なからず認められた点である.アミラーゼ低値が発癌の結果として生じたものか,あるいは膵液の胆管内逆流はperiodicに生じるもので,一過性の膵液逆流でも発癌のinitiationとなる可能性があると解釈すべきか,興味ある現象と考えられた.
  • 浅原 新吾
    2007 年 21 巻 2 号 p. 125-135
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    切除不能,または術後再発した肝内胆管癌の予後は不良であり,有効な治療は現在も確立されていない.これらの症例に対して,一過性の塞栓物質であるdegradable starch microspheres(DSM)を用いた動注化学塞栓療法(DSM-TACE)を施行し,その効果と合併症を検討した.奏功率は529%で,生存期間中央値は463日(15.4カ月),1年生存率も77.5%と,現在行われている全身化学療法よりも良好な結果であった.Grade4の肝機能障害を認めたが,一過性であった.肝膿瘍,胆管壊死,胆汁性嚢胞を各1例に認め,2例にドレナージを施行した.DSM-TACEは手術不能または術後再発の肝内胆管癌に対する比較的安全で有用な治療法と考えられるが,過去に経動脈的治療を行っている症例では,治療後の胆管障害が強く現れることがあるため,胆管ステントや胃空腸吻合を有する症例の治療の際には注意が必要である.
  • 秋田県肝胆道癌研究会の取り組み
    佐藤 勤, 浅沼 義博, 山本 雄造
    2007 年 21 巻 2 号 p. 136-144
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    秋田県肝胆道癌研究会は1 9 8 5 年以降,秋田県における肝胆道癌の診療状況を把握するめにアンケートによる症例集積を継続してきた.17年間の胆道癌の集計(85~89年の前期と90~01年の後期に区分)を総括し,地域単位での症例集積の意義,秋田県における胆道癌診療の問題点を検討した.調査を依頼したほぼ全ての病院から症例が寄せられ,胆管癌946例,胆嚢癌731例の計1677例が集計された.胆管癌切除例の治療成績は全国集計の5年生存率を約10%下回った.全国集計と比べ根治度Aの手術が少ない傾向を認めた.胆嚢癌ではm,mpの5年生存率が75%,56%と低かった.本調査を通じて地域における胆道癌診療の実態と問題点が明らかになった. 胆道癌のように頻度が低くかつ診療に高度な技術が要求される疾患を地域で扱ううえで,診療科を超えた枠組みを基盤に行った本集計は特に有用であった.
  • 浦田 孝広, 真口 宏介, 高橋 邦幸, 潟沼 朗生, 小山内 学, 中原 和之, 松崎 晋平, 岩野 博俊
    2007 年 21 巻 2 号 p. 145-152
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    急性胆嚢炎に対する内視鏡的経鼻胆嚢ドレナージ(ENGBD)の有効性と問題点についてretrospectiveに検討した.対象は,ENGBDを試みた56例である.手技選択理由は抗凝固薬・抗血小板薬服用中,出血傾向を有する,あるいは胆嚢癌の併存を疑う例などである.手技成功は56例中44例,成功率78.5%であり,留置に成功した44例中43例,97.7%においてドレナージが奏功した.奏効までに要したチューブの平均留置期間は3.4日であった.合併症は急性膵炎1例(1.8%)以外に,ENGBD特有と考える胆嚢管損傷を2例(3.6%)に経験した.ENGBDはドレナージ効果が高く,特に,PTGBD,PTGBA困難例に対してはドレナージの第一選択になり得る可能性がある.しかしながら,留置成功率の向上が課題であり,今後処置具の改良,手技の進歩が必要である.
  • 田妻 進
    2007 年 21 巻 2 号 p. 153-160
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆石症は消化器疾患の中でも最も頻度の高い疾患の一つであり,日本人の胆石保有率は人ロの高齢化とともに上昇している.胆石保有者数の増加は食生活習慣の変化,特に脂肪摂取量増加と繊維食摂取の減少による胆汁中コレステロール濃度の上昇に起因すると推定されている.また,胆石は女性に比較的多く,その成因として女性ホルモンの関与が推測されている.胆石は胆道に局在する結石であり,その構成成分と存在部位により,背景因子や生成機序が,臨床症状や重症度・治療の緊急性など臨床病態も多彩となる.胆石はその主要構成成分によりコレステロール結石と色素結石に大別され,両者の成因や形成過程も異なる.本稿では,その胆汁成分の肝・胆道における代謝異常とそれに基づく物性化学的変化や,胆道における運動生理機能異常を中心に胆石生成機序を解説する.
  • 露口 利夫
    2007 年 21 巻 2 号 p. 161-169
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    機械的砕石術は標準的内視鏡的胆道砕石術として広く普及し,その成功率は90%前後である.機械的砕石ができないものは「困難結石」と呼ばれ,その理由には巨大結石や結石嵌頓が挙げられる.体外衝撃波破砕療法は困難結石に対する代表的治療法であり,体腔内からの破砕療法に結石破砕成功率でも遜色ない成績を上げている.しかし破砕治療回数が多くなることや結石除去には内視鏡補助が必要となることが問題としてあげられる.一方,主な体腔内破砕療法は電気水圧衝撃波破砕療法とレーザー砕石に大別され,それぞれに胆道鏡下砕石と透視下砕石が応用されている.安全面からは胆道鏡下砕石が望まれるが胆道鏡の応用自体が手技的に煩雑で技術的に難しい面があることが問題点として挙げられる.今後の普及には胆道鏡の耐久性と処置能力の向上が必須と考えられる.
  • 宮崎 勝
    2007 年 21 巻 2 号 p. 170
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
  • 長谷川 洋, 坂本 英至, 小松 俊一郎
    2007 年 21 巻 2 号 p. 171-177
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    合流部結石は鏡視下手術が極めて困難な病態と考えられてきた.われわれは,直接胆道造影所見から本症を2型(A,B)に分類し,それぞれの型に応じた術式を考案した,A型は胆嚢が著明に萎縮している型で嚢状部の切開のみを行い結石を摘除する,B型は胆嚢管が著明に拡張している型で経胆嚢管的に結石を摘除するというものである,この方針に従って術式を選択することにより,安全に鏡視下手術を行うことが可能となった.1993年からの合流部結石手術例は11例であった.型別では,A型6例,B型5例であった,開腹移行はなくすべて鏡視下に手術を完遂できた.手術時間は,平均230分,入院期間は平均19.1日であった,合併症は認められず,長期の経過観察でも胆管狭窄は認められなかった.以上の方針,術式に従って治療を行うことにより,鏡視下手術が合流部結石治療の選択肢の1つとなりえると考えられる.
  • 山崎 元
    2007 年 21 巻 2 号 p. 178-183
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    近年,総胆管結石に対する治療法においてESTやEPBD等の内視鏡治療が標準的治療と認識されてはいるが,実際には患者各人によって最適と考えられる治療法は異なっており,しかも内科と外科,さらには各施設内でも治療方針が異なることもあり,標準化されたとは言い難いのが現状である.我々は胆嚢結石の落石による胆嚢胆管結石症ではその成因と考えられる胆嚢結石に対しては胆摘術が必要であるとの立場より,胆摘,胆管切石を一期的に行なえ,乳頭機能が温存でき,しかも低侵襲手術と考えられる腹腔鏡下胆管切石術を第一選択とし1992年7月より施行してきた.腹腔鏡下胆管切石術としては胆嚢管法(腹腔鏡下経胆嚢管的切石術)と胆管切開法(腹腔鏡下胆管切開術)があり,前者は胆嚢胆管結石に対する理想の手術と考えられるが胆嚢管が拡張し三管合流部より乳頭側に数個の小結石が存在する場合が適応とされる.後者は如何なる場所,如何なる大きさ,如何なる数の結石でも対処可能な術式と考えられ,我々は当初より胆管切開法を総胆管結石に対する基本術式と位置付けて施行してきた.しかし,腹腔鏡下胆管切開術は胆管切開,除石,縫合,胆道減圧と多くの手技が要求され難度の高い術式であるため,胆管結石症に対する標準術式とはなかなか成り得ず,多くの施設で施行されていないのが現状である.本稿では患者にとって利点の多い本法が普及することを願って我々の行なっている腹腔鏡下胆管切開,一期的縫合,Cチューブドレナージの手技の工夫を提示する.
  • 山崎 一麿, 新井 英樹, 川口 誠, 塚田 一博
    2007 年 21 巻 2 号 p. 184-188
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は76歳, 男性. 平成17年夏, 炎天下での山仕事からの帰宅後より, 四肢の脱力感及び歩行困難が出現.翌日,屋内で倒れているところを発見され救急車にて搬送された,熱中症による横紋筋融解症に合併した急性腎不全と診断され透析治療が開始されたが,その後右上腹部痛を認めるようになり入院第5病日に外科へ紹介された.腹部CT,MRI検査により,胆嚢内腔にガスと液体からなる鏡面像,胆嚢壁内と胆嚢周囲に拡がるガス像そして胆嚢周囲から右側傍結腸溝に及ぶ膿瘍が指摘された.以上より気腫性胆嚢炎の穿孔と診断し,同日胆嚢摘出術とドレナージ術を施行した.横紋筋融解症に合併した気腫性胆嚢炎の報告は過去になく,希な症例と考えられたので若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 小泉 一也, 丹野 誠志, 小山内 学, 柳川 伸幸, 木村 圭介, 羽広 敦也, 中野 靖弘, 中村 和正, 蓑口 まどか, 西川 智哉, ...
    2007 年 21 巻 2 号 p. 189-193
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は36歳男性.右季肋部痛を主訴に近医を受診し,US,CTにて胆嚢が同定されないため,腹痛の精査目的に当科紹介となった,入院後のUS,CTで肝床部に小構造物の存在が疑われたため,EUSを施行したところ,胆嚢管と連続する小嚢状構造物を認め,内部に胆泥が疑われた.ERCでは胆嚢管から連続する小さな嚢状構造物が造影され,管腔内超音波検査で胆嚢管からの連続性を確認できた.胆嚢低形成症を疑ったが,自覚症状が持続し,萎縮胆嚢も否定できないことから摘出術を施行した.手術所見で小指頭大の胆嚢を認め摘出した.病理組織学的検査では粘膜上皮と固有筋層を認め,炎症細胞浸潤は軽度であった.術前にあった症状は術後に消失した.胆嚢低形成症は稀な胆道奇形であり,その画像所見については不明な点が多い.本症例は術前に胆嚢低形成症の画像所見を得られた貴重な症例であり,文献的考察を加え報告する.
  • 柴田 良仁, 清水 輝久, 野中 隆
    2007 年 21 巻 2 号 p. 194-198
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は41歳男性.背部痛で近医受診精査の結果,胆石症を指摘され当院紹介入院となった.ERCP,DIG-CTでは,左右の肝管は低位で合流し,さらに左右の肝管は肝門付近で一本の胆管で交通し circuit を形成していた.胆嚢管は右肝管に合流していた.腹腔鏡下胆嚢摘出術施行し術中胆道造影でも胆管走向異常は確認された.胆道系の手術に際し術前検査で胆管の走向を十分に把握することは胆道損傷を避けるために重要と考える.
  • 本邦切除例の検討
    坂東 正, 松能 久雄, 塚田 一博
    2007 年 21 巻 2 号 p. 199-203
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は7 6 歳, 女性. 食欲不振と体重減少を主訴に入院となった. るい痩が認められ, 両下肢と左前腕に著明な浮腫も伴っていた.血液生化学検査所見では貧血と低栄養を認めた.腹部CTとUS,ERCにて肝浸潤を伴う腫瘍性病変が胆嚢に認められた.以上より胆嚢癌と診断し胆嚢床切除とリンパ節D1郭清を行った.切除標本肉眼所見では胆嚢は水腫様で,不整で境界不明瞭な腫瘍が充満していた.切除胆嚢の病理組織所見は印環細胞癌を含む低分化から高分化までの腺癌が認められ,No12b2リンパ節にも印環細胞癌の転移像が認められた(ss,pHinfla,pBinf0, pT2 pN1 stageIII, fCurB).術後経過は良好で退院し,約1年再発兆候なく生存中である.
  • 蒲田 敏文, 松井 修, 山城 正司
    2007 年 21 巻 2 号 p. 204-214
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    Multidetector rowCT(MDCT) により非常に薄いスライスでの撮影が短時間で可能となった.Thin sliceの横断像ならびにMPRや3次元画像を観察することで,肝門部胆管癌の詳細な進農度診断ができるばかりか,血管解剖もより立体的に把握できる.MDCTは肝門部胆管癌の診断と術式選択に非常に有用な検査法であると言える.
  • 本杉 宇太郎, 市川 智章, 荒木 力, 板倉 淳, 藤井 秀樹
    2007 年 21 巻 2 号 p. 215-221
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    肝門部胆管癌の画像診断は,非常に小さく複雑な構造を対象としているため画像診断全体の中でも難しい領域のひとつであるといえる.その中でMRIに期待される最も大きな役割は,MRCPにおける胆道系全体の描出である.マルチスライスCTが16列から64列へと発展してきた現代において,多断面撮像はMRIの専売特許ではなくなっている.MRIはその持ち味であるコントラスト分解能を生かして用いていく必要がある.
  • 廣岡 芳樹, 伊藤 彰浩, 川嶋 啓揮, 丹羽 康正, 後藤 秀実
    2007 年 21 巻 2 号 p. 222-225
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
  • 菊山 正隆
    2007 年 21 巻 2 号 p. 226-227
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
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