2007 年 21 巻 2 号 p. 189-193
症例は36歳男性.右季肋部痛を主訴に近医を受診し,US,CTにて胆嚢が同定されないため,腹痛の精査目的に当科紹介となった,入院後のUS,CTで肝床部に小構造物の存在が疑われたため,EUSを施行したところ,胆嚢管と連続する小嚢状構造物を認め,内部に胆泥が疑われた.ERCでは胆嚢管から連続する小さな嚢状構造物が造影され,管腔内超音波検査で胆嚢管からの連続性を確認できた.胆嚢低形成症を疑ったが,自覚症状が持続し,萎縮胆嚢も否定できないことから摘出術を施行した.手術所見で小指頭大の胆嚢を認め摘出した.病理組織学的検査では粘膜上皮と固有筋層を認め,炎症細胞浸潤は軽度であった.術前にあった症状は術後に消失した.胆嚢低形成症は稀な胆道奇形であり,その画像所見については不明な点が多い.本症例は術前に胆嚢低形成症の画像所見を得られた貴重な症例であり,文献的考察を加え報告する.