胆道
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術式決定にIDUSが有用であった粘液産生胆管癌の1例
戸澤 智浩牧野 直彦白幡 名香雄本田 悌一朗池田 祐之河田 純男平井 一郎木村 理
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2007 年 21 巻 4 号 p. 540-546

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抄録
症例は7 6 歳, 女性. 上腹部の腫瘤を自覚し, 肝嚢胞腺癌の疑いで当科紹介入院となった.腹部US,CTおよびMRCPにて,総胆管から左肝内胆管に連続する乳頭状腫瘍を認めた.ERCP時には乳頭開口部の開大と粘液の排出を確認でき,造影上,総胆管から左肝内胆管にかけての著明な拡張と多量の粘液塊が認められた.胆管生検では粘液産生像を呈する乳頭状腫瘍がみられ,総胆管から左肝内にかけての粘液産生胆管腫瘍と診断した.造影では多量の粘液塊により壁内進展を正確に診断できなかったため管腔内超音波検査(以下IDUS)を施行した.右肝管と膵内胆管には腫瘍の進展を認めなかったため拡大肝左葉切除を施行した.病理診断は腺癌で,右肝管および総胆管での断端は陰性であった.
粘液産生胆管癌は粘液塊の修飾による多彩な胆管像のために術前診断に難渋する場合も多く,本疾患の進展度診断にはIDUSが有効な検査と考えられた.
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© 日本胆道学会
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