抄録
タウロデオキシコール酸(TDC), タウロケノデオキシコール酸(TCDC), タウロコール酸(TC), タウロウルソデオキシコール酸(TUDC), タウロベータムリコール酸(TβMC)を用いて各胆汁酸の膜障害性と, 疎水性胆汁酸に対する親水性胆汁酸の膜保護作用について, ヒト赤血球膜を細胞膜モデルとして溶血を指標として比較した. 各胆汁酸の溶血性の強度はTDC>TCDC>TC>TUDC>TβMCの順で高速液体クロマトグラフィー法による疎水性の程度の順列と一致した. 一方, TUDCとTβMCはTCDCによる溶血性を減弱させたが, その作用はTβMCの方が顕著であった(6mM添加, 30分時抑制率82.0%対90.4%).最大抑制効果を認めたTCDC:TUDC(TβMC)=1:3モル濃度比の混合胆汁酸溶液での溶血は, 総胆汁酸濃度(1~10mM)に依存せず, 総胆汁酸濃度上昇に対して溶血は充進しなかった. 以上より, 親水性胆汁酸は疎水性胆汁酸による細胞膜障害に対する膜保護作用を持ち, その発現には至適濃度が存在することが判明した.