胆道
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急性無石胆嚢炎の発生機序に関する実験的研究
特に,虚血-再灌流障害におけるradical scavengerおよびphospholipase A2 inhibitorの効果とプロスタグランディンの関与について
矢嶋 幸浩
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1993 年 7 巻 4 号 p. 445-457

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抄録

犬の胆嚢に虚血-再灌流を加えて急性無石胆嚢炎を発生せしめ,その発生機序におけるradical scavengerやphospholipase A2(以下PLA2)inhibitorの効果とプロスタグランディンの関与を明らかにする目的で本研究を行った. 胆嚢に45分虚血後90分再灌流を加えると全例に急性胆嚢炎が発生し,胆嚢粘膜中のPLA2,過酸化脂質およびリゾレシチン/レシチン比(以下L/P比)は増加し,特にPLA2やL/P比と胆嚢の炎症面積との間には有意の正の相関が認められた.また,胆嚢内のPGE2,PGF2α,6KFおよびTXB2は虚血- 再灌流により有意に増加し, 特にPGE2 やPGF2αは胆嚢の炎症面積と有意の正の相関が認められた.これにSOD+CAT,あるいはSOD+CAT+キナクリンを混合して胆嚢動脈内に注入すると,胆嚢粘膜中の過酸化脂質はSOD+CATの混合投与で,PLA2活性やL/P比はキナクリンの投与で,有意に減少し,また,胆嚢内のPGE2やPGF2αも減少して,胆嚢の炎症面積は有意に減少した.

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© 日本胆道学会
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