胆道
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劇症肝炎における肝内細胆管の経時的動向について
増生細胆管の形態学的および免疫組織学的検討
国村 利明諸星 利男神田 実喜男
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1993 年 7 巻 4 号 p. 458-464

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抄録

劇症肝炎における肝内細胆管の経時的変化について,20剖検例を用い検索を行った.光顕的に肝細胞再生がみられない急性期症例では,明るい細胞質を有する円柱上皮からなるI型細胆管の増生が門脈域に確認された.肝細胞再生がみられる亜急性期症例では,暗い細胞質を有する立方上皮よりなるII型細胆管も再生結節周囲に増生し,経過とともに著明となっていた. EMA,Keratin,CA19-9等の免疫組織学的結果から, I 型は胆管上皮と同様の染色性を示した.また,II型は肝細胞様の染色性を示すものと胆管上皮様の染色性を示すものとが認められたが,経過とともに肝細胞様の染色性示すII型細胆管の占める割合は減少していた.電顕的にII型細胆管は肝細胞に類似するが,基底膜上に配列するものもみられた.以上より,劇症肝炎における肝内細胆管の動向は,まず発症初期に胆管上皮由来の細胆管の増生が,さらに肝実質細胞の再生が盛んになるにつれて肝細胞に由来する細胆管の増生が引続くことが示唆された.しかし,文献的に劇症肝炎回復期症例では,有意な肝組織所見を認めないことから,剖検例に観察されたこれらの所見は,予後不良を示す所見でもあると考えられた.

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