胆道
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胆嚢癌に対する大動脈周囲リンパ節郭清に関する研究
新井田 達雄吉川 達也武藤 博昭森山 宣吉田 基巳吾妻 司中村 光司羽生 富士夫
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1993 年 7 巻 4 号 p. 473-479

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抄録

胆嚢癌の大動脈周囲リンパ節(以下(16))転移や,(16)郭清に関する検討を行った.胆嚢癌44例中25%に(16) 転移を認め,m,pm癌(3例)に(16)転移はなかったが,ss以上の進行癌41例中26.8%に(16) 転移を認めた.特に,頸部にかかる癌(以下Gn)で30.0%,底体部二領域に及ぶ癌(以下Gfb)で28.6%に(16)転移を認めた.(16)転移陽性でも,他の非治癒因子がなけれぼ,3年生存無再発例も1例であったが,(16)以外の非治癒因子を有したり,(16)転移度が高い症例は術後早期に死亡した.ss以上(GnかGfb)における(16)郭清37例の5 年生存率は47.6%で,(16)非郭清91例の5年生存率18.2%に比し有意に良好であった.(16)郭清に起因する術後合併症や死亡はなかった.(16)郭清後の1年以上経過した21例のQOLは,95%がGrade O~1と良好であった.以上より,ss以上の胆嚢癌(GnかGfb)に対し,(16)郭清は必要で安全な術式と思われたが,(16)以外の非治癒因子を有したり,(16)転移度が高い症例は(16)郭清の適応外と思われた.

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© 日本胆道学会
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