1993 年 7 巻 4 号 p. 527-534
症例は86歳,女性.心窩部痛を主訴に来院した.腹部US,CTにて総胆管の拡張と,肝左葉の結石をともなう嚢胞様病変を認めた.PTCにて,左肝内胆管から総胆管にかけての著明な拡張と,総胆管全域におよぶ透亮像を認め,PTCSにより粘液産生胆管腫瘍と診断した.高齢のため,PTCDによる保存的治療としたが,腫瘍の産生する粘液により頻回のドレナージチューブの目詰まりをきたしたため, 塩酸ブロムヘキシンの投与を試みたところ,粘液の粘稠度の低下が認められ,良好な胆道ドレナージが得られた.さらに,体外および胆管腔内照射の放射線療法を追加したところ,粘液産生量の低下が得られ,ドレナージチューブの抜去も可能となった.