胆道
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閉塞性黄疸時における膵外分泌機能充進および膵栄養効果の成因に関する研究
神野 浩樹山中 若樹岡本 英三
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1994 年 8 巻 3 号 p. 209-214

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抄録

閉塞性黄疸にみられる膵外分泌機能亢進, 膵栄養効果の機序を検討する目的で, 閉塞性黄疸(OJ), 胆管下大静脈痩(CCF), 70%胆管下大静脈瘻(70%CCF)の3種類の実験モデルをラットで作成し, 以下の結果を得た.
1)OJ群では膵液分泌量, 膵液蛋白量の増加と膵重量の増加が認められた.
2)CCFは, OJ群と異なり肝障害の程度は軽微であったが, OJ群と同程度の高ビリルビン血症, 高胆汁酸血症, 高セクレチン血症が発現するモデルである.このモデルでも膵外分泌機能の亢進および膵重量の増加がOJ群と同程度に認められた.
3)70%CCFは, CCFと異なり, ビリルビン値およびセクレチン値は正常に留まり, 高胆汁酸血症のみをきたすモデルであるが, 膵外分泌能亢進, 膵重量の増加がみられた.以上より, 閉塞性黄疸時の膵外分泌能充進および膵栄養効果の主たる要因は高胆汁酸血症であることが生体モデルで実証された.

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© 日本胆道学会
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