1994 年 8 巻 3 号 p. 264-271
昭和46年より長崎県奈留町で年に一度行ってきた集団検診で, 昭和60年からの総合集団検診, 特に胆道系疾患のスクリーニングについて検討を行った. 昭和60年から平成3年までの総合検診受診者は延べ5,210名(年平均744名)であった. 検診にて発見された癌は胃癌13例, 乳癌5例, 大腸癌4例など計28例であった. 担道系に対する超音波検診では, 胆石症40例, コレステロールポリープ26例, 肝内結石症14例が主なもので, 胆道癌は1例もみられなかったが, 同じ期間内に胆道悪性腫瘍で5例の方が死亡した. また集検が始まった初期に比べ有疾病者の数が著明に減少してきており, これらは集検の効果であると考えられる一方で, 集検の問題点を提起しているものと考えられた. 即ち, 長期間にわたり集検を同一地域で行う場合, 未受診者に対する対策と, 対費用効果を考えたシステムの確立が必要であると考えられた.