1994 年 8 巻 3 号 p. 272-276
術前診断が可能であった胆石イレウスの1例を報告する. 症例は61歳, 女性.嘔吐と腹痛を主訴に来院. 腹部単純X線写真で, Niveau像, air cholangiogram, 左下腹部に25mm大の結石陰影を認めた. 腹部CTで胆嚢壁の肥厚, 肝内胆管のガス像を認め, さらに腹部 US では, 左下腹部の腸管内に 25×20m m の結石を認め, 近傍の腸管は著明に拡張していた. 経皮経肝胆道造影所見では, 胆嚢を経由して, 造影剤の十二指腸内への流出を認め, 胆嚢十二指腸瘻を確認, 以上より, 胆石イレウスと診断した。結石は回腸末端から270cm口側の空腸に存在し, 腸管内腔を閉塞し, 口側腸管は著明に拡張していた. 十二指腸瘻閉鎖, 胆嚢摘出を一期的に施行した. 摘出胆嚢内には胆石の残存は認められなかった. 結石は25×30rnmでコレステロール81%, ビリルビン19%であった.