2008 年 2008 巻 11 号 p. 20-27
多くのキノロン系抗菌薬は、前臨床試験において幼若動物で関節毒性が認められるため、小児の適応を取得していない。現在、本邦で小児領域の適応を有しているのは経口の小児用ノルフロキサシン(小児用バクシダール®錠)のみであり、その他、小児の炭疸にはシプロフロキサシンのみが米国疾病管理センター(CDC)による推奨用法用量の記載があり、使用できる。一方で、新たな耐性菌の増加などの背景から、小児の適応追加の要望が専門医の間からあがっている。注射用シプロフロキサシンは欧米では一次選択薬として使用しないことと限定されてはいるが、特定の疾患において小児の適応を有している。本邦での適応追加に当たっては、小児に対する有効性と安全性からリスクとベネフィットを十分に考慮した上で使用される必要に加えて、小児科領域でも使用されることによるキノロン耐性菌の増加を抑止するため徹底した適正使用の実践が必要である。