谷本学校 毒性質問箱
Online ISSN : 2436-5114
〈特集2〉データベース活用法
研究員のための毒性情報の収集ノウハウと活用方法
小島 史照
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2011 年 2011 巻 13 号 p. 20-54

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抄録

はじめに

 著者は、入社して18年間一貫して、情報の収集と解析、データベースの構築と運用、情報共有の促進などの仕事に従事し、情報調査の専門家であるインフォプロとして、医薬品の研究開発の推進に携わってきた。しかし、毒性研究に関してのバックグラウンドは乏しく、毒性研究の現場でどのような情報の収集に困っているのか十分に把握してはいなかった。一昨年から安全性研究所に異動し、研究員とのディスカッションから毒性情報収集の課題について見えてきたものがある。今回の執筆にあたり、毒性研究員としての視点では不十分な部分もあるが、情報の収集に関するインフォプロの広い視点にたって、有益な情報をご紹介したい。

 インフォプロの世界においても、毒性情報は、最も入手しづらい情報のひとつである。その最も大きな要因は毒性に特化した文献データベースが存在しないことである。その一方で、化合物の毒性、安全性に関する情報源は多岐に渡り、Web上の有益な無料サイトだけでも数十存在する。これらの多様な情報源から有効な情報を引き出すには、それぞれの情報源の特徴と検索手法を十分に理解しなければ情報収集は困難を極める。また、医薬品の毒性情報はネガティブな情報であり、一般的に好んで公開される情報ではないことも入手しづらいひとつの要因である。

 本稿では、1.で、毒性情報を得るための情報源の概略、情報収集におけるインフォプロと研究員との違い、研究員に求められる調査スキルなど、研究員が情報収集するうえでの基本について説明する。2. 3.では、毒性研究員が最も利用する頻度が高い、文献情報と承認申請情報について、データベースの特徴、調査ストラテジー立案の基本を紹介するとともに、具体的な事例を紹介し、情報の収集及び活用ノウハウを説明する。4.では、弊社の安全性研究所における調査の実際を紹介し、現在、取り組んでいる、過去の社内外の情報活用を促進するナレッジマネジメントに関して、著者の考えと今後について紹介する。

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© 2011 安全性評価研究会
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