2011 年 2011 巻 13 号 p. 55
第34回日本トキシコロジー学会学術年会より開始された医薬品のファーマコビジランスに関する議論も今回で4回目を迎える。第36回同年会からは非臨床と臨床の連携に着目し、具体的な開発終結品目を例に、非臨床担当者・臨床開発担当者が一堂に会し、各々の専門的見地から活発な議論を行う場となってきている。過去には、一度、臨床まで開発が進むと非臨床担当者には当該開発品目の情報はあまり伝わることがなかったという話も耳にしていた。確かに、非臨床試験結果報告書に記載されている内容は報告書を読めば分かるかもしれないが、報告書にはありとあらゆる事が記載されているわけではない。実際に、非臨床的検討を日々行っているものだから気付ける点もあるだろうし、逆に、臨床的知識を有しているからこそ気が付ける非臨床成績におけるヒントもあるかもしれない。種々の専門性を有する者が活発な議論を交わしていくことは、より効率的かつ安全な医薬品開発・市販後安全対策に必須であり、そのような土壌を築き上げることは急務と言えよう。国内には数多くの学会が存在しているが、非臨床担当者と臨床担当者が一緒に通り一遍ではない議論を行う場はなかなかないのが実情である。そのような中、このような議論が継続出来ていることは画期的である。