2012 年 2012 巻 14 号 p. 106-111
バイオインフォマティクス(Bioinformatics)という用語が広く使われるようになったのはヒトゲノムプロジェクト以降のことであると思う。この用語の定義を正確に説明することは専門家に任せるとして、広義でとらえれば薬理学、毒性学、およそ薬に係る研究をするものにとっては何らかの接点をもつ学問であることは間違いないと思う。
バイオインフォマティクスはデータと解析ツールの2つの重要な要素で成り立っていることは知られていることだが、実際に公開されているデータの内容や、さらにその運用状態については、実際にこれを必要とする現場には十分な情報が提供されていないように思われる。そこで、毒性・安全性の研究者にこれらのデータの利用方法とその意義を紹介できればというのが本文の目的である。