遺伝毒性試験ガイドラインICH S2(R1)1)は2011年に改訂され、内容が大きく変更された。今回の改訂の主な変更点は三つである。一つ目は、遺伝毒性試験の標準バッテリーとして2つのオプション(オプション1及びオプション2)が選択できるようになり、オプション2では2種の異なる組織におけるin vivo試験の選択及び一般毒性試験に遺伝毒性評価の組込みが可能となったことである。二つ目はほ乳類細胞を用いるin vitro遺伝毒性試験での意義のない陽性結果を減らすために最高用量の上限が低くなったことであり、in vitro小核試験の利用も認められた。三つ目は、標準化された方法で施設バリデーションが十分になされたin vivo試験では、試験ごとの陽性対照群の設定が不要となったことである。
上記のガイドラインの変更に際し、安全性評価研究会では、実務担当者間の現場レベルでの情報交換や課題の共有を目的として、2012年9月の八ヶ岳フォーラムにおいて遺伝毒性に関する議論を行った。本稿では、八ヶ岳フォーラムで議論した内容をQ&A形式で紹介する。