谷本学校 毒性質問箱
Online ISSN : 2436-5114
レクチャー ファーマコビジランス
7-4 アセトアミノフェン誘発性肝機能障害:国内外の最新動向
熊谷 雄治
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2013 年 2013 巻 15 号 p. 74-76

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抄録

 慢性疼痛のコントロールには、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンのような非オピオイド性薬物が重要な役割を有している。我が国の医療現場では、そのすぐれた鎮痛作用から、NSAIDsが頻用されているが、米国ではむしろNSAIDsはあまり使用されておらず、主にアセトアミノフェンが用いられている。この相違はアセトアミノフェンの歴史的な承認用量にあると考えられる。

 我が国におけるアセトアミノフェンの用量は1回300~500mg、1日900~1,500mgであった。一方、米国では1日4,000mgという高用量が使用されていた。我が国の承認用量では解熱作用は期待されるものの、鎮痛目的では不充分な用量であり、疼痛コントロールには用いられていなかったのが実態である。しかし、平成23年の成人用量の拡大にともない、我が国でも1回300~1,000mg、1日4,000mg までの投与が可能となり、今後疼痛コントロールのための使用機会が増加すると考えられる。その一方で用量増大に伴う有害反応の出現も危惧されており、情報収集が開始されている。本稿ではアセトアミノフェンの有害反応、特に薬剤性肝障害(Drug Induced Liver Injury, DILI)と、その検出のために現在行われている調査について述べる。

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© 2013 安全性評価研究会
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