谷本学校 毒性質問箱
Online ISSN : 2436-5114
レクチャー6 ファーマコビジランス
6-2 非臨床安全性評価におけるイメージングの活用
上総 勝之
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2015 年 2015 巻 17 号 p. 102-106

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抄録

 イメージング技術を用いた検査手法は、生体内の様々な臓器の形態・機能の観察に汎用され、現代の医療現場においてもはや必要不可欠な診断ツールとなっている。イメージング技術には、比較的古くから知られる超音波エコーのほかComputed X-ray Tomography (CT)、Magnetic Resonance Imaging (MRI)やPositron Emission Tomography (PET)など多様な原理のモダリティが含まれ、それぞれ全く異なる特徴を有することから、目的に応じて使い分けられている。ここ数年の目覚ましい技術革新により、従来のモダリティの精度向上のみならず、Photoacousticや近赤外蛍光のような新たなアプローチも登場し、生体から更に多くの形態的、機能的、さらに分子レベルでの定性・定量的情報を非侵襲的に収集することが可能となってきた。

 しかし、臨床において活用分野が広がっていく一方で、イメージングを医薬品開発のための非臨床安全性評価や環境ハザード同定に標準的に適用していくための検討はまだ十分なされていない。動物における活用という点では、少なくとも獣医領域では、比較的大型の動物の診断にはヒトで汎用されるイメージング検査手法が同様に用いられてきた。近年になってイメージングツールのスペックは向上し、ラットやマウス、ゼブラフィッシュのような小型の動物であってもヒトとほぼ同質・同量の情報が得られるようになった。医薬品開発において、小型動物を用いて副作用リスクを早期に検出したり、ヒトでも同様に用いられる毒性バイオマーカーを探索するなど、活用できる場面は以前に比べて大幅に増えつつある。

 本稿では、非臨床段階の安全性評価への応用という観点で、エコーを始め幾つかのイメージングモダリティについて、特徴と検討事例を紹介する。

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© 2015 安全性評価研究会
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