谷本学校 毒性質問箱
Online ISSN : 2436-5114
毒性質問箱
光毒性(Q&Aと用語解説)
西山 義広重見 亮太鈴木 慶幸甲田 章有江 裕子
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2015 年 2015 巻 17 号 p. 126-134

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抄録

 これまで我が国の医薬品の光安全性に関するガイドラインとしては、1989年に厚生省から発表された医薬品毒性試験法ガイドライン1)における「皮膚光感作性試験」のみであった。一方でFDAからは2003年に「Guidance for Industry, Photosafety Testing」2)が、EMEAからは2002年に「Note for Guidance on Photosafety Testing」3)が発表されたが、国際間で統一されたガイドラインが存在しない状態であった。2009年に発表されたICH M3(R2)ガイドラインにおいて、光安全性試験の考え方や実験的評価の実施時期等が示されたものの、光安全性に関する各非臨床試験の重みづけや結果の解釈には依然として地域差が存在する状態であった。

 そのような中で2013年11月に医薬品の光安全性評価に関するICH S10ガイドライン4)がstep 4(最終合意)に入り、光毒性(光刺激性)と光アレルギーの評価に関しては国際的な基準が示された。

 ICH S10ガイドラインの一般原則の中で、化学物質が光毒性や光アレルギーを示すための重要な性質として、「1:太陽光の波長内(290~700 nm)に光の吸収帯が存在する」、「2:UVあるいは可視光の吸収により、 反応性に富んだ分子種を形成する」、「3:光に曝露される組織(皮膚や眼)に十分な量が分布する」が記載されている。この中の一つでも当てはまらない場合には、通常その化合物は光毒性の懸念を直接呈することがないと記載されている。

 2014年にICH S10ガイドラインが厚生労働省から通知されたこと5)を受け、同年の安全性評価研究会の夏のフォーラムでは、光毒性に関するグループディスカッションを設け、実務担当者の現場レベルでの情報交換を実施した。本稿では、その際に議論した内容の一部をQ&A形式で紹介する。

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© 2015 安全性評価研究会
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