谷本学校 毒性質問箱
Online ISSN : 2436-5114
毒性質問箱
Q&AハイライトⅢ(生殖発生毒性)
下村 和裕伊東 志野宮田 英典若松 正樹
著者情報
解説誌・一般情報誌 フリー

2015 年 2015 巻 17 号 p. 135-144

詳細
抄録

 本誌、「谷本学校 毒性質問箱」はこの号で第17号となる。安全性評価研究会では会の創成期からフォーラム・セミナーにおいて、またはE-mail(かつてはパソコン通信!?)を利用して、会員の間で多くの「教えてください」が気軽に提出され、また、多くの「こんな経験があります」、「この本にこんなことが書かれています」などの返事が返されてきた。時には特別会員であるそれぞれの分野を代表する大御所の先生からもアドバイスを頂けることもある。研究会への参加が、発表を聞く・メールを読むという情報を得るだけの一方通行ではなく、自分の理解できないこと、経験のないことなどで行き詰まりを感じた場合は素直に手をあげてHELPを表明し、アドバイスが頂ければ、それをもとに更に自分で調べてその結果を報告し、その報告に対してまたコメントが集まるといった双方向の情報発信につながっていった。これが研究会の特徴的な活動となり、日本毒性学会学術年会でのシンポジウム・ワークショップでの毒性質問箱の企画にも結びついていった。質問の内容は実験に関する技術的なこと、ガイドラインの解釈、安全性試験結果の評価、PMDAなど規制当局とのやり取りに対する支援、GLPや統計など多岐にわたり、毒性の分野に携わる者にとって非常に有益なものが多い。取り扱ったQ&Aが口頭発表やメールのみで個人の記憶の中だけに留められるのではなく、研究会の財産としてしっかり形として残してゆこうということから、誌名を毒性質問箱として本誌が誕生している。創刊号から第14号まで600を超えるQ&Aが掲載されており、新しく安全性評価の分野に入った方にとっては、疑問に思うことが起きても、毒性質問箱誌のバックナンバーにあたることによって、多くが解決できる環境が整っている。しかしながら、創刊号は1998年発行であり、現在まですでに17年が経過している。その間、厚生労働省、FDA、EMAのそれぞれから新しく発表されたガイドラインもあり、日米欧三極でハーモナイズされたICHガイドラインもある。また、科学技術の発達により、新たな検査法・評価も導入されるようになったものもある。このような時間の経過から、現在の視点から古いQ&Aを見直してみると、現状とそぐわなくなったQ&Aも見出されるようになってきた。そこで、第15号では一般毒性、第16号では臨床検査・がん原性に関するQ&Aを現在の視点からアップデートしてきた。そして、この第17号では生殖発生毒性に関するQ&Aについて見直しを行った。

著者関連情報
© 2015 安全性評価研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top