谷本学校 毒性質問箱
Online ISSN : 2436-5114
3R
霊長類複数飼育(social housing)の現状
渡邉 翔角﨑 英志
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2018 年 2018 巻 20 号 p. 61-67

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抄録
 第三者認証機関であるAAALAC International(AAALAC)による認証の有無が、研究施設における実験動物の管理体制に対する評価基準の一つとして、世界的に浸透している。AAALACは2011年秋に認証前施設査察時の3つの基準を公示し、社会的動物に複数飼育(social housing;相性が良い同種同性の動物を2匹以上で飼育すること)を標準管理方法として求めている。医薬品開発の非臨床試験に用いられる動物種の一つである霊長類は社会的動物であり、欧米では複数飼育が標準とされている。しかし、本邦ではその導入が遅れており、動物福祉の観点からは後進国と言わざるを得ない。
 当社は、動物福祉の先進国である米国に子会社(SNBL USA;ワシントン州)を有する。また、中国及びカンボジアに繁殖施設を有し、集団飼育の環境下でカニクイザルの繁殖・飼育を行い、育成した動物を日本・米国の試験施設へ供給してきた。その強みとノウハウを生かし、当社の安全性研究所においても、2012年から霊長類の複数飼育に積極的に取り組んでいる。今回は、カニクイザルにおける複数飼育に関する、①施設の対応、②動物間の相性の確認方法及び③個別飼育と複数飼育での毒性評価パラメータの差異について得られた知見や検討結果を紹介する。
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© 2018 安全性評価研究会
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