抄録
健康であるためにはおいしく食べることが大切であり、また、おいしく食べることが健康にもつながります。様々な食材が手軽に手に入り、また、自分で調理をしなくても食べることは可能です。このような現代社会の環境の中で、少しでも多くの人に料理の楽しさを理解してもらいたいと思っています。料理を作る過程そのものの楽しさを味わうだけではなく、食べる人に喜んでもらえる料理づくり、「おいしい」といってもらえたときの喜びを多くの人に経験してもらいたいと思っています。世の中には健康にかかわる多くの情報が氾濫しています。カロリー、コレステロール、ビタミン、脂肪が少ないなどの情報に満足させられて、実は本来の「味わう」という行為を忘れているのではないでしょうか。高齢者の介護の場面でも食事づくり、食卓を囲むことで実現できるコミュニケーションがQOLの向上にも大切な役割をしています。私達が生きていくうえで、本来の「食べる」ということの意味を考え直し、「味わう」こと「おいしく食べる」ためには「おいしさを創る喜び」を知ることが非常に大切なことであると思っています。