日本味と匂学会誌
Online ISSN : 2424-1326
Print ISSN : 1340-4806
5. 牛肉の香りと熟成(<総説特集>食べ物のおいしさと熟成を科学する)
松石 昌典
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2004 年 11 巻 2 号 p. 137-146

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抄録

食肉を鼻先で嗅いで感じるorthonasal aromaと食肉を口中で噛んだときに鼻に抜けるものとして感じるretronasal aromaのうち、後者は食肉のおいしさの形成や動物種識別に大きく貢献している。牛肉の熟成により2つの好ましい香りが生じる。1つはミルク様の香りの生牛肉熟成香(orthonasal aroma)で、酸素存在下、赤味と脂身の共存部において細菌の作用によって生じる。もう1つは甘い脂っぽい香りの和牛香(retronasal aroma)で、高度に脂肪交雑した和牛肉を薄切りして数日間酸素存在下に置いた後80℃で加熱することで生じる。和牛香にはラクトン類などの化合物が寄与すると推定された。

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© 2004 日本味と匂学会
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