日本味と匂学会誌
Online ISSN : 2424-1326
Print ISSN : 1340-4806
2.味覚障害に対する亜鉛治療とその効果(<総説特集>亜鉛と味覚障害)
池田 稔
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2006 年 13 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

味覚障害の原因は多様である。これまで味覚障害の発症機序に関与する因子として十分な検討がすすめられてきたのは、必須微量元素のひとつである亜鉛との関連性であろう。本稿では様々な味覚障害の病態について、亜鉛との関連性を中心に述べてみた。病態の解明をすすめることは臨床における治療法の確立のためにも重要である。味覚障害に対する現在最も一般的な治療は亜鉛治療であるが、その有効性は味覚障害全般に及ぶものではなく、亜鉛欠乏を背景に持つ限定された味覚障害例に対して有効性が期待できるものである。亜鉛欠乏性味覚障害と特発性味覚障害は、亜鉛治療の良い適応となる。これまでに比較的よく検討が行われてきた唯一の治療法といえる亜鉛治療について、亜鉛剤の種類やその有効性について述べた。

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© 2006 日本味と匂学会
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