2009 年 16 巻 2 号 p. 197-206
日本ではワインを取り扱う仕事は多様化しており、多くの人がワインを対象に比較的専門性の高い仕事に従事している。基本的には仕事の名称も技能も公的に認定されておらず、その仕事に従事する者自身が、自分が思うままに名乗っているにすぎない。とはいえ、いずれの仕事においても、目的は違うが、ワインを味わい、その特徴を表現したり、質を評価したりする機会は多い。ワインテイスティングの必要性は非常に高いる。本稿では、はじめに、欧米のワイン消費国に比べると、非常に特殊な日本のワイン業界の実態に触れ、そのあとテイスティングの実態、テイスティングにおける匂いと味の関係についての事例を紹介する。また、ワインと料理のマリアージュの事例もいくつか示していきたい。