日本味と匂学会誌
Online ISSN : 2424-1326
Print ISSN : 1340-4806
味覚センサ
都甲 潔
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1997 年 4 巻 1 号 p. 21-32

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抄録
味を定量化するセンサが開発された。味覚センサは、味物質のもつ情報を電気化学的に電圧に変換する複数種類の脂質/高分子膜とデータを処理するコンピュータ部からなる。味の違いは脂質/高分子膜の出力電圧から構成されるパターンの違いで識別・定量化される。酸味や苦味といった全く異なる味には大きく異なるパターンを出力し、似た味には似通ったパターンを出力する。また、抑制効果などの味質間の非線形相互作用も拾うことが可能であることからもわかるように、味覚センサは「味物質」ではなく「味」そのものを出力情報にもつセンサである。感度や識別能は人より1桁以上優れている。また、繰り返し使用も半年以上可能であり、工場の製造ラインに組み込むことができる。酸味や苦味といった人の官能と高い相関を示し、官能表現を定量化できる。このセンサは従来の高選択性をもつセンサの概念とは全く異なる広域選択性(global selectivity)を有するセンサであり、バイオミメティックテクノロジーの一つの方向を示している。
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© 1997 日本味と匂学会
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