抄録
食べ物のおいしさを決定する重要な要素として、色、形などの外観、味、香り、テクスチャーなどがあげられる。食べ物のテクスチャーとは食べ物を手で触れたり、口に入れたときの感覚、咀嚼あるいは嚥下の際の感覚などである。食べ物のテクスチャーに関する研究が精力的に開始されたのは1960年前後である。テクスチャーは食べ物のおいしさの要素としてもっとも大きな比率を占めることが実証され、対応する機器測定法も開発されてきた。食べ物のテクスチャーは「複雑系の科学」の一つであるが、新しい手段を導入しながら精力的な研究活動が展開されることを期待したい。