タウリンリサーチ
Online ISSN : 2434-0650
Print ISSN : 2189-6232
高強度持久性運動による骨格筋 N-アセチルタウリンの増加
中村 優歩宮﨑 照雄大野 貴弘羅 成圭海老名 慧菅澤 威仁竹越 一博宮川 俊平本多 彰大森 肇
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2016 年 2 巻 1 号 p. 43-44

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抄録
これまで我々は、ヒト持久性運動における血中・ 尿中 N-acetyltaurine(NAT)濃度の有意な増加を 確認している。NAT は、アルコール代謝などの際 に過剰に産生される酢酸によってタウリンがアセ チル化されて生じ、尿排泄される。我々の培養細胞 における検討では、骨格筋においても酢酸とタウリ ンから NAT が生成されて、細胞外へ排泄されるこ とが確認されている。このことから、持久性運動で 増加する血中・尿中 NAT は、骨格筋で生成されて いることが推測される。しかし、実際に運動を行っ た生体の骨格筋中において、NAT が生成されてい るかについては不明である。その点を明らかにする ために、本研究では、ラットを用いて検討を行った。 その結果、疲労困憊までの高強度持久性運動によっ て、血中 NAT濃度の有意な増加と共に、骨格筋(ヒ ラメ筋)NAT 濃度の有意な増加が確認された。ま た、血中 NAT 濃度と骨格筋 NAT 濃度には有意な 正の相関関係があったことから、血中 NAT 濃度の 増加は、骨格筋 NAT 濃度の増加に依存しているこ とが示唆された。以上より、タウリンは持久性運動 時に、骨格筋内に過剰に取り込まれた酢酸を NAT に変換して細胞外に排出し、最終的には尿排泄する ことで、骨格筋内における酢酸の過剰蓄積を防ぐ役 割を担っていると推測される。
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© 2016 国際タウリン研究会

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