待遇コミュニケーション研究
Online ISSN : 2434-4680
Print ISSN : 1348-8481
特別寄稿
「丁寧」「配慮」「尊敬」「尊重」
待遇コミュニケーションのキーワード
坂本 惠
著者情報
キーワード: 丁寧, 配慮, 尊敬, 尊重, 敬意, 誠意
ジャーナル オープンアクセス

2019 年 16 巻 p. 91-96

詳細
抄録

本稿では「待遇コミュニケーション」「敬語コミュニケーション」でのいくつかのキーワードについて考察した。

「丁寧」と「配慮」は同じ文脈で使われることもあるが、意味、用法の違いがある。「丁寧」は「乱暴でなく、心を込めて十分に考えて行う」というような意味で、相手を想定していない場合も多く、行動の仕方、方法、行動するときの様式を表している。一方「配慮」は「ある状況に対して、多くは特別な状況や、不十分な状況であることを理解して、それに合った、特別な扱いをする」というような意味で、必ず相手を必要とする。

「尊敬」は人に対して使われ、「その行動、言動がすばらしいものだと感じられ、その人を真似したいと思い、仰ぎ見る存在であると思う」ことを表し、「尊重」は対象は人とは限らず、「何かを特別なものとして軽視せず、そのものとして大事に扱う、認める」という意味で、行動を伴うものである。

「敬意」は「尊敬」に近いが、主に人に使いその人を「尊重」する気持ちである。「誠意」は自分自身の相手に対する気持ちであるが、それをどのように示すかという意味で関連表現である。「誠意」をどのように示すかは文化、言語によって異なることが知られている。

これらの語はよく使われているが、実際には定義が難しく、他の言語に翻訳することも難しい。注意して使う必要がある。

著者関連情報
© 2019 待遇コミュニケーション学会
前の記事 次の記事
feedback
Top