2021 年 10 巻 4 号 p. 165-171
同種造血細胞移植患者の身体機能を経時的に評価するために,単施設前向き観察研究を実施した。2016年11月から2019年3月に当院で同種造血細胞移植を受けた100名を対象に握力・膝伸展筋力・short physical performance battery(SPPB)・筋肉量を測定した。握力は経時的に低下し,膝伸展筋力と筋肉量は前処置開始前と比べてDay 14までは増加したが,Day 42以降は減少した。SPPBの経時的変化は少なかった。重回帰解析にて,前処置開始前を基準としたDay 42の各測定値の低下割合に影響する因子は,握力に関しては,HLA不一致とステロイド累積投与量がプレドニン換算で平均20mg/日以上,膝伸展筋力に関しては年齢60歳未満,SPPBに関しては減量強度前処置とステロイド累積投与量がプレドニン換算で平均20mg/日以上,筋肉量に関しては非血縁ドナーと体重減少率5%以上とステロイド累積投与量がプレドニン換算で平均20mg/日以上であった。本研究結果をもとに,身体機能低下予防のための看護介入へとつなげていきたい。