2022 年 11 巻 2 号 p. 101-107
非血縁者間臍帯血移植は確立した同種移植方法の一つである。日本において臍帯血移植件数は増加傾向にあるが,欧米ではハプロ移植の台頭により臍帯血移植件数は減少している。臍帯血移植成績に人種差の影響があるかを検討するため,日欧で臍帯血移植の予後予測因子を検討したがHLAを除き同等であった。GVHDが予後に及ぼす影響を検討したところ,軽症のGVHDは日本人においてのみ再発リスクを低下させ,良好な生存に寄与することが示された。そのことが日本において臍帯血が好まれて使用される原因かもしれない。近年,再発高リスク造血器腫瘍に対する臍帯血移植の有用性が示された。また,欧米での移植前処置の改良による成績改善や増幅臍帯血のランダム化比較試験の良好な成績を受けて,再び臍帯血移植が注目される可能性がある。