2022 年 11 巻 3 号 p. 177-186
急性白血病患者の治療後のQOL向上は重要なアウトカムの一つである。本研究は急性白血病治療後患者が化学療法や造血細胞移植後にどのような生活上の困難感を抱え対処しているかについて健康関連QOLの4側面(身体,精神,機能,社会)から探索することを目的とした。方法として,急性白血病治療後の患者524名を対象に行った横断的QOL調査から得られた自由記述データを内容分析し,治療法別に生活上の困難感と対処を明らかにした。結果,移植後GVHD有群では身体面,化学療法群では精神面に関する困難感が多かった。化療群と移植後GVHD有群では就労できない困難感,移植後GVHD無群では復職後就労継続の困難感が多かった。予測不可能な長期経過,感染に対する脆弱性,晩期合併症をもつ患者が,治療と合併症による心身の困難と不確かさに対処できた自信および復職・就労に必要な支援を求める力の獲得をサポートすることが重要と考えられた。