2023 年 12 巻 2 号 p. 74-82
本邦の輸血医療は献血制度で支えられている。国は適正使用の推進のためにガイドラインや使用基準を発行し,「輸血療法の実施に関する指針」および「血液製剤の使用指針」が適正使用ガイドラインとして広く用いられるようになった。血液製剤の安全性の向上に関しては,様々な安全対策が取られ,血液製剤の安全性は飛躍的に向上した。2003年には「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」が施行され,血液製剤の安全性の向上や献血による国内自給の原則,安定供給の確保,および適正使用の推進,さらに血液事業運営に係る公正の確保と透明性の向上を基本理念として輸血医療に携わる医療従事者の役割が明確化された。各医療機関における輸血管理体制の整備が進められ,安全で適正な輸血療法を実施するための多職種連携の輸血医療を目指す日本独特の制度が設立されている。