日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
総説
同種造血幹細胞移植におけるCD36抗原・抗体の臨床的意義について
津野 寛和香西 康司松井 茉里奈安藤 萌小林 洋紀宮城 徹大河内 直子室井 一男
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2023 年 12 巻 3 号 p. 161-166

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抄録

 CD36抗原は,血小板や単球をはじめ,様々な細胞に発現することが確認されているが,血小板にのみCD36抗原が発現しないⅡ型欠損者と,全ての細胞に欠損するⅠ型欠損者が存在し,Ⅰ型欠損者は抗原感作によって抗体を産生することがある。CD36欠損者は,白人では稀であるが,アジア人及びアフリカ人に多くみられる。CD36抗体は,血小板輸血不応(PTR)や胎児・新生児血小板減少症(FNAIT)など,免疫学的機序による血小板減少症の発症に関与することが確認されている。CD36抗原は赤芽球や骨髄芽球などにも発現することが確認されているが,同種造血幹細胞移植に及ぼす影響等については不明な点が多く,本稿でCD36抗原・抗体の臨床的意義及び同種造血幹細胞移植におけるこれまでの知見について概説する。

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© 2023 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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