2023 年 12 巻 3 号 p. 181-193
2017年から利用されている造血細胞移植患者手帳について,患者や医療機関関係者へのアンケート調査を行い,手帳の運用状況の把握とともに,改訂の必要性などを検討した。結果,移植施設アンケートは119施設より,対象者別アンケートは移植医師195人,かかりつけ医17人,看護師134人,患者405人より有効回答を得た。移植医師と看護師では約3/4が手帳を利用していたのに対し,かかりつけ医では1/3と少なかった。「手帳が役に立ったことがある」と回答したのは移植医師47%,かかりつけ医42%,看護師62%,患者47%であった。役に立った内容としては,ワクチン接種に関するものが多かった。手帳の大きさについては,「丁度いい」が多く,手帳の形態変更への希望については「スマホのアプリにする」が多かった。手帳の利用率を上げるには手帳の改訂および使用法に関する患者や医療機関への周知等が必要と考えられた。