2023 年 12 巻 3 号 p. 172-180
再発・難治性のB細胞性急性リンパ性白血病や悪性リンパ腫(びまん性大細胞型リンパ腫,濾胞性リンパ腫の形質転換など)の予後は不良である。2019年,本邦でもCD19標的キメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞療法が使用可能となり,従来の治療では疾患コントロールが困難な症例の一部に長期寛解をもたらしている。CAR-T細胞療法が奏効する症例がいる一方で,再発もしくはCAR-T細胞療法に治療抵抗性を示す症例も少なくない。高価な治療法であるからこそ適正使用につとめ,CAR-T細胞療法の再発・治療抵抗性のメカニズムやその臨床的特徴を知り,CAR-T細胞輸注前ならびに再発後の治療戦略を考えていくことが重要である。